(内容)
本研究所代表の佐藤進がこれまで主体的に推進してきた液晶レンズ (Liquid Crystal Lens) の研究に関連して,研究を始めた動機や研究開発の方法,種々の構造の液晶レンズの研究や特性の改善,その他について,時系列的に説明する。
さらに,電極面に設けた円形の孔型開口部に第3の電極を設置し,この電極に独立した電圧を加える2電圧駆動方式により,凸〜凹の広範囲の焦点距離において良好なレンズ特性が得られる液晶レンズを作ることもできまた。
一方,良好なレンズ特性を得るためには絶縁層の厚みがレンズの口径の数分の一程度必要であるという条件が有ることから,良好な光学特性を持つレンズでは印加電圧の大部分が絶縁層に加わることで駆動電圧が高くなってしまうこと,特に大口径の液晶レンズでは高電圧駆動となることなどが大きな欠点であった。そこで,凸〜凹の広い焦点可変範囲で良好な光学特性を保持し,低電圧で駆動できる液晶レンズの研究を始めた。
可変レンズパワー | ∝ 液晶層厚 |
∝ 複屈折凾 | |
∝ 1/(レンズの口径)2 |
他の研究機関においても液晶レンズに関わる研究開発が行われている。そのすべてを網羅することはできないが,1980年代から学術論文として発表されている主なものを紹介する。