液晶レンズ (Liquid Crystal Lens) −液晶レンズの研究及びその構造や動作原理の説明−

液晶レンズの研究の始まりから、液晶レンズの構造や動作原理に関する説明

液晶レンズ (Liquid Crystal Lens) について

  液晶レンズ (Liquid Crystal Lens) は,1970年代に当時秋田大学の助教授で現在液晶レンズ研究所代表の佐藤により白内障用の焦点可変メガネの実現を目指して初めて作られ,その動作が確認されました。(S.Sato: "Liquid-Crystal Lens-Cells with Variable Focal Length" (1979))。
  当時の液晶レンズは,液晶分子が一方向に配向しているレンズ状の液晶セルに電圧を加えて液晶分子の配向制御を行うことで生じる実効的な屈折率変化を利用するもので,機械的な駆動部を持たずに焦点距離を可変できるという特徴を持っている液晶光学デバイスの一つです。しかし,このタイプの液晶レンズは電圧に対する応答が遅い,収差特性が悪いなどの欠点を持ているため,その後,様々な構造の液晶レンズが提案され,現在では優れた光学特性を有し低電圧で駆動できる液晶レンズが作られています。
  液晶レンズとよく似た名称で同様に焦点距離を可変できる液体レンズがありますが,液晶レンズは液晶分子の回転等の効果を利用して動作するもので,物質の移動を伴わないという特徴があるのに対して,液体レンズは液体の移動による形状の変形を利用したもので,液晶レンズとは動作原理や構造等が全く異なるものです。

本ホームページの構成

液晶レンズ 概説応用  本頁では,以下に液晶レンズについて概説し,液晶レンズの応用について例示しています。
液晶レンズ研究所  液晶レンズの研究開発を行ってきた佐藤が設立した液晶レンズ研究所について説明しています。
液晶レンズの研究  研究所代表の佐藤が液晶レンズの研究を始めた動機,手法,展開,液晶レンズの種類や応用例等について説明しています。
発 表 論 文 リ ス ト  研究所代表の佐藤による液晶レンズに関わる研究成果の発表論文のリストを示しています。

液晶レンズ概説

  1970年〜1980年頃に作製された液晶レンズは液晶層が凸レンズ(又は凹レンズ)の形状をしているもので,電圧を印加しない場合に焦点距離が最短となり,十分大きな電圧(〜10V)では焦点距離が最長(ほぼ素通しの状態)となります。
  下図に,この液晶レンズを通して撮影した写真を示します。電圧0ff時には焦点距離が短くなっているため被写体が拡大されていますが,拡大鏡(虫眼鏡)と同じ原理であり,ズームレンズではありません。液晶ズームレンズは二組の液晶レンズを使って作ることができます

液晶レンズの写真


  その後、様々な構造の液晶レンズを提案して来ましたが,最新の液晶レンズでは,数ボルト以下の電圧を加えて液晶分子の配向制御を行い,実効的な屈折率が軸対称放物面の形状の分布となるようにすることで,良好な特性を維持した状態で凸レンズ〜凹レンズの動作が可能となっています。また,解像度の劣化もあまり見られない優れた特性の液晶レンズが作られています。これらの液晶レンズの特性の進展については, 液晶レンズの研究の頁で詳細に説明しています。

液晶レンズの応用

 液晶レンズは機械的な可動部を持たず,口径が1mm以下の小さなものから数cm程度までの大きさのものを簡単に作ることができ,薄型軽量で且つ低電圧で駆動できるという特徴をもっていますので,これらの優れた特徴を生かすことで,以下のような様々な分野への応用が期待されています。


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